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色々、色のお話し(第三回)メジュームって何?

  2021年07月19日

会社でデスク周りを見渡してみると、様々な色の「印刷物」があります。

これら印刷物の「色」の素となっている印刷インキには、黄、紅、藍、墨など、単一の顔料で作られた色インキをそのまま使用しているものもあれば、幾つかの色を調合して作られた、いわゆる「特色」も存在します。

 

インキの基準色は濃い?

こういった「特色」を作る場合、薄い色を混ぜて、濃い色を作ることはできませんので、インキの基準色は可能な範囲で色が濃い状態で作られています。

しかしながら、世の中に存在する色は、濃い色ばかりではなく、薄い色もたくさんあります。

そのため、薄い色を作るためには、濃いインキを薄める手段が必要です。

 

無色のインキがある?

そこで、インキの発色に関わり、色の命とも言える「顔料」を抜いた無色のインキの登場です。

この無色のインキは「メジューム」や「ビクトリア」、「メヂウム」、「メジウム」と呼ばれており、最も使われているのはおそらく「メジューム」、英語で書くと「medium」です。

昭和生まれの日本人がローマ字感覚で読むと「メディウム」でしょうか(笑)
英語の発音では「ミーディアム」が近いようにも思います。

 

この単語には、いくつかの意味があり、単純に「中間にあるもの、間に取り入って媒介するもの」があります。(Wikipediaより) 

最もよく使われているのは、洋服やフライドポテト等のサイズで、「M」サイズ。もちろん、Mediumの頭文字をとって、「M」と呼ばれています。

次は、ステーキの焼き加減。そう、「ミディアム」です。 

レア(rare:生焼け状態)とウエルダン(well-done:よく焼けた状態)の「中間にあるもの」として、ミディアム(medium:肉の中心部の蛋白質が変質しかける程度まで温める焼き方)が使われています。
ステーキの焼き方に関して詳しく知りたい方はこちらをどうぞ

 

メジュームの複数系はメディア?

そして、驚いたことに、この「medium」の複数形は「media」です。

「間にある、間に入って媒介する」の意味から、人と人の間に入って情報を媒介するものがmediaと呼ばれる所以のようです。

インキの種類としてのMediumは、媒剤(ばいざい)や展色材(てんしょくざい)の意味として用いたことが由来と考えられます。

 

透明な白と、不透明な。。。

さて、ここまで散々「メジューム」、英語で書くと「Medium」と言ってきましたが、実は海外の印刷業界ではメジュームと呼ぶことは少なく、英語では「Transparentwhite(トランスパレントホワイト、透明な白)」または単に「Trancewhite(トランスホワイト)」と呼ばれています。

透明白... 日本では聞きなれない言葉ですが、綺麗な言葉に聞こえますね。

では、一般的な白色のことはどう呼ぶのか。透明白ではないとしたら、、、

不透明白??

実は、これで正解!

海外の印刷業界では、白色のことを「opaquewhite(オペークホワイト)」と呼んでいます。

日本ではオペーク白という名称は、特別に濃度を高くした白インキや、コインオペークインキ等で使用されますが、オペーク=不透明、と考えると、少し納得できます。

 

この「メジューム」の特性(無色、ほぼ透明、インキとしては幾分柔らかい)を生かした用途をいくつかご紹介します。

 

メジュームの使用例

1、色インキの濃度調整

主となる用途です。薄い色を印刷する場合、印刷する膜厚を薄くする方法がありますが、膜厚を薄くしすぎると、インキがかすれたり、基材が透けたりしてきれいに印刷できないことがあります。そこで、色インキとメジュームを混ぜて濃度の調整を行い、印刷をします。

同じ条件で印刷しても、濃淡の違いだけで、きれいに印刷できます。

 

2、目止め剤として

印刷に使用する素材が、上質紙等インキを吸い込みやすい材質である場合、きれいに発色しなかったり色ムラが発生することがあります。それを防止するために、目止め剤としてメジュームを先に印刷し、その上に色インキを印刷します。

下地にメジューム印刷なし
下地にメジューム印刷あり

下地にメジューム印刷をしていない場合、吸い込みが発生したため、若干色がくすんだように見えます。

印刷素材にインキ中のワニスが吸収され、顔料成分が多く残った印刷被膜ができてしまうことを、印刷業界用語で「チョーキング」と呼んでいます。チョーキングが起きてしまった時の対処方の一つとして、印刷の下地にメジュームを印刷し、目止め効果を期待する場合もあります。

 

3、特殊な活用方法

色インキを印刷した上から、メジュームに機能性物質(抗菌剤、香料、虫よけ等)を混ぜたものをオーバーコートとして、印刷することにより、印刷物に付加価値をつけることができます。

香りを印刷した便せんや絵葉書
香りが印刷された便せんやハガキ

弊社では、この方法を応用して、名刺やはがき、お店のチラシなどに、ラベンダーやローズなど香り成分の入ったインキを印刷し印刷面をこすると香りを発する「香り印刷」を行っています。

単純なようで、実はメジュームとはとても奥が深いインキです。ここでは紹介していない使い方や、原料にも色々な種類があり、製品の特長もメーカーによって千差万別です。

光沢メジューム、マットメジューム、アンカーメジューム、パールメジューム等、実に様々な製品が上市されていますので、皆さま、ぜひ色々とお試しになり、自分だけのお気に入りのメジュームを見つけてみて下さい。

*弊社においてメジュームとは、一般の色インキに使用される顔料を、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムや硫酸バリウムといった体質顔料に置き換え、色インキと混ぜることで色合わせを容易にすることを主目的として、設計されたインキです。

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